610日、中国外務省の報道官は南京大虐殺と従軍慰安婦に関して世界記憶遺産への登録申請をしたと語った。

 

そもそも世界記憶遺産とは、

概要:

世界の重要な記憶遺産の保護と振興を目的に、1992年に開始された情報・コミュニケーションセクターの事業

目的:

文部科学省HPより

(http://www.mext.go.jp/unesco/002/006/002/005/shiryo/attach/1308438.htm)

と、いうことである。

 

何を申請するかはその国に任されていることであり、中国が'南京大虐殺'と従軍慰安婦に関して申請することは、それ自体法的な問題はない。

問題なのは以下の2点である。

1、従軍慰安婦問題・南京事件について、歴史的な事実だと立証されていないということ。

2、中国が韓国に対して政治的な接近をアピールしているということ。

 

1つ目の歴史的な事実かどうかについてだが、

これらの問題について中国や韓国の主張が完全に正しいと信じている人はいるのだろうか。

かなり前から日本ではそれらを検証した本が出版されており、少なくとも中国や韓国の主張が嘘だということははっきりしている。

ユネスコの記憶遺産にはその選定基準がある。

1)真正性 (2)世界的な重要性 (3)その他(希少性・完全性・管理計画の有無など)

以上の3つであるが、真正性については以下のように解説されている。

「記憶遺産の本質や出所(複写、模写、偽造品でないか)の確認。」

これは日本が望んできたことではないだろうか。

従軍慰安婦問題・南京事件では数多くのファンタジー的な手記や、偽造された写真に悩まされてきた。そしてその11つを論破してこなければならなかった。

その真贋をユネスコが確かめてくれるというのである。是非やってもらおうではないか。

日本政府は今回の申請に関して菅官房長官が、

事実関係を確認中だ。仮に中国が政治的意図を持ってこの案件についての申請をしたと判断されれば、抗議の上、取り下げるように政府として申し上げたい」

と記者会見で発言した。抗議をしたところで何の意味もないだろう。そもそも中国は日本が反発するのは分かっていてやっていることだから。それよりもこれまでに日本人研究者が検証してきた論文などをユネスコに提出したらいいのではないだろうか。そして、ユネスコが従軍慰安婦問題・南京事件については真正性が無いから登録できないという発表でもしようものなら日本にとってこれ以上ありがたいことはない。

 

2つ目の中国と韓国の接近についてであるが、ここ半年から1年の間にはっきりとしてきた大きな問題である。

東アジアのパワーバランスを変更しようとする動きであり、そこには中国のしたたかな戦略が見え隠れする。

その流れは北朝鮮での金正恩政権発足してからのことである。

以下、過去のニュースを列挙する。

○金正恩は一度も訪中していない。訪中の予定や打診は何度もニュースに流れたが、結局それは実現していない。

○中国と関係が深かったとされる張成沢が処刑された。

○中国北東部のハルビン駅内に安重根の石碑を建立するよう韓国の朴槿恵大統領が習近平国家主席に要請していたが、石碑よりも大がかりである記念館が作られた。

5/29、大韓民国臨時政府による光復軍の石碑が中国の西安に作られ、除幕式が行われる。

○同じく5/29、日朝合意。北朝鮮は拉致問題を再調査するという。

 

中国と北朝鮮の間に何があったのか明確に解説するようなニュースは流れていない。

ただ、中国は北朝鮮と距離置き、韓国に接近しているということ。その結果として北朝鮮が日本に接近してきているということ。

どうやらその2つは明らかなようだ。

ただ、韓国はアメリカと同盟を組んでいる状況であって、中国にもいい顔をするなんていう難しい外交を、今後長期にわたって続けていけるとは思えない。

中国へのすり寄りが度を越えれば、アメリカから牽制されるだろう。

 

結論から言えば従軍慰安婦問題・南京事件がユネスコの世界記憶遺産に登録されることはあり得ない。

なぜならこれまでに登録されたものはその歴史的価値、歴史的事実がはっきりと確定しているものだけだからである。(フランスの人権宣言や、イギリスのマグナカルタなど。)

今回の申請は中国から韓国に対する政治的なアピールであって、放っておいてもそのうち申請は却下されるだけのことだが、日本は世界に対してこれを好機として改めて反論をする必要がある。

まず、南京事件については中国政府の発表は捏造といえるほどに歪曲されたものであるということ。

従軍慰安婦問題について、韓国政府が再三主張しているその強制性について何ら証明されていないということ。(村山談話、河野談話は歴史的な事実の証明にはならない。)

 

それらの問題について日本は世界に対するアピールという面では中国、韓国に対しては完敗だった。

南京問題は一時期アメリカで真実であるかのように報道されたことがあった、また従軍慰安婦問題は国連人権委員会で'性奴隷'として取り上げられている。(これは日本弁護士連合会が国連にそう扱うように働きかけた結果であるが。)

中国、韓国の喧伝に対してはしっかりと反論していかなければならない。それは日本国内にいる反日日本人に対してもである。

いつになったらこれらの問題について、世界がその事実を認識してくれるのだろうか。

我々は辛抱強く、11つ、これからも反論をしていかなければならない。